こんにちは、wai-doi です。
本記事では、Rails Console で Gemfile に書かれていない gem を使いたくなったときの困りごとの共有と、その解決方法をご紹介します。
環境
- Ruby 4.0.5
- RubyGems 4.0.10
- Bundler 4.0.14
- Rails 8.1.3
困りごと
Rails Console で Active Record のコードを書くことがよくあります。
そのとき、チームで共有する Gemfile に書くほどではないけれど、自分だけは使いたい gem が出てきました。
pp_sql はログに出力される SQL を整形して見やすく表示してくれる gem です。
GitHub - kvokka/pp_sql: Rails ActiveRecord SQL queries log beautifier · GitHub
この gem を Rails Console で使いたいと考えました。しかし、Rails Console は Bundler を使用しているため通常は Gemfile 内にある gem しか利用できません。
本記事では簡単な例として、tapp という gem を使えるようにすることを目指します。
GitHub - esminc/tapp: tap { pp self } · GitHub
実際に require すると以下のような LoadError が発生します。
$ bin/rails c
Loading development environment (Rails 8.1.3)
>> require 'tapp'
(rails-sample-app):1:in '<main>': cannot load such file -- tapp (LoadError)
そのため、Gemfile に書かれていない gem を Rails Console で使えるようにしてみました。
Bundler の有無での require の違いを調査
Rails 内で呼び出す require は以下のような順番で再定義されています。
CRuby の Kernel#require
↓
RubyGems の Kernel#require
↓
Bootsnap の Kernel#require
↓
Zeitwerk の Kernel#require
Zeitwerk は autoload のため、Bootsnap はライブラリのパスをハッシュに持つことで最適化するために、それぞれ require を再定義しています。このうち、Gemfile にない gem を require できるかに関わってくるのは RubyGems の require です。
ただし Rails では、この RubyGems による gem の探索が Bundler によって無効化されています。詳しくは後述します。
例えば、gem install tapp している状態で、通常の Ruby で require をすると成功します。
$ ruby -e 'p require "tapp"'
true
通常の Ruby では RubyGems の Kernel#require が呼び出されます。以下のような実装になっています。
rubygems/lib/rubygems/core_ext/kernel_require.rb at v4.0.10 · ruby/rubygems · GitHub
def require(path)
return gem_original_require(path) unless Gem.discover_gems_on_require
begin
gem_original_require(path)
rescue LoadError => load_error
if load_error.path == path &&
RUBYGEMS_ACTIVATION_MONITOR.synchronize { Gem.try_activate(path) }
return gem_original_require(path)
end
raise load_error
end
end
まず最初に discover_gems_on_require を判定します。false であれば元の require を呼び出して activate は行われません。
true の場合は、まず元の require を試し、$LOAD_PATH から見つからず LoadError になったときに、インストール済みの gem の中から探して activate ($LOAD_PATH に追加) し、あらためて require します。そのため require が成功するようになっています。
こちらが元の require のリファレンス。
Kernel?.require (Ruby 4.0 リファレンスマニュアル)
こちらが RubyGems で拡張された require のリファレンス。
Kernel#require (Ruby 4.0 リファレンスマニュアル)
Rails では config/boot.rb 中で require "bundler/setup" が呼ばれると、Bundler を使う準備が行われます。
その準備の中で、discover_gems_on_require が false に切り替わり、利用する gem が Gemfile の gem だけに固定されるようになるため、上記の $LOAD_PATH の追加が行われなくなっています。
これは Rails に限った話ではなく、bundle exec 経由で Ruby を実行した場合も同様です。
以上のことから、Rails でも自分で $LOAD_PATH へ gem のパスを追加すれば、Gemfile にない gem を require できるということがわかります。
解決方法
方針として、自分のローカル環境だけに影響するよう、~/.irbrc にやりたいことを実現するコードを書くことにしました。~/.irbrc に書くことで、どの Rails プロジェクトでも共通して利用できます。
以下が今回 ~/.irbrc に書いたコードです。
module GlobalGemLoader
module_function
def require!(gem_name, require_path = gem_name)
add_load_paths(gem_name)
require require_path
end
def add_load_paths(gem_name)
spec = find_spec(gem_name)
raise LoadError, "#{gem_name} gem is not installed" unless spec
lib_path = File.join(spec.full_gem_path, "lib")
return if $LOAD_PATH.include?(lib_path)
$LOAD_PATH.unshift(lib_path)
spec.runtime_dependencies.each { |dep| add_load_paths(dep.name) }
end
def find_spec(gem_name)
spec = Gem::Specification.find_all_by_name(gem_name).max_by(&:version)
return spec if spec
Gem::Specification.dirs
.flat_map { |dir| Dir.glob(File.join(dir, "#{gem_name}-*.gemspec")) }
.map { |path| Gem::Specification.load(path) }
.select { |s| s.name == gem_name }
.max_by(&:version)
end
private_class_method :add_load_paths, :find_spec
end
処理の流れは以下のようになっています。
require! を呼び出す
- 該当する gem の gemspec オブジェクトを取得
- gemspec オブジェクトにある
lib ディレクトリのパスを $LOAD_PATH に追加
- 依存 gem も同様に
lib ディレクトリのパスを $LOAD_PATH に追加
- require を実行
find_spec メソッドは、require したい gem の gemspec オブジェクトを返すメソッドです。Gem::Specification.find_all_by_name で探しますが、Bundler は利用できる gem を Gemfile の中だけに固定するため、Gemfile にない gem はここでは見つかりません。その場合は、インストールした gem の gemspec ファイルが集められている specifications ディレクトリを探します。
add_load_paths メソッドは、find_spec で見つかった gem の lib ディレクトリを $LOAD_PATH へ追加していきます。
依存 gem がある場合はそれらも再帰的に find_spec して $LOAD_PATH へ追加しています。
使い方は GlobalGemLoader.require! 'tapp' を実行するだけです。
$ bin/rails c
Loading development environment (Rails 8.1.3)
>> GlobalGemLoader.require! 'tapp'
=> true
これを ~/.irbrc に書いておくと Rails Console を起動するだけで自動的に使えるようになるので便利です。
まとめ
Gemfile に書かれていない gem を Rails Console で使えるようにするため、GlobalGemLoader.require! を実装して使ってみました。
今回の調査で何気なく使っていた require が再定義されていたり、require がどういうときに成功し、どういうときに失敗するのかなど、深いところまで知ることができたのが良かったです。
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